2016年4月15日金曜日

【マインドフルネス 本の紹介】“Full Catastrophe Living” Jon Kabat-Zinn

【本の情報】

題名  : Full Catastrophe Living (邦題:マインドフルネスストレス低減法)
著者  : Jon Kabat-Zinn(ジョン・カバットジン)
訳者  : 春木豊
出版社 : 北大路書房
発行年 : 2007年
http://www.kitaohji.com/wadai/choryu_index.html


【どんな本か】
“今”という瞬間を意識して(マインドフルに)生きていくために、生活のなかでできる実践が、豊富に紹介されています。


【この本を紹介するねらいは…】
著者のジョン・カバットジンは、“マインドフルネスストレス低減法”というプログラムの開発者として知られていますが、この記事では、“治療法として”という観点ではなく、“誰もが日常の中で自らできる実践として”という観点から、内容を紹介していきたいと考えています。


【書名にこめられた意図は?】
書名の“Full Catastrophe Living”は“やっかいごとだらけの人生”という意味あいで用られています。


著者はこの点について…

  この本では、この“やっかいごとだらけの人生”をまるごと抱きしめてしまうという方法をお話ししていきます。(8ページ)

…と述べています。


人生や生活から問題や困りごとを追い出そうと躍起になるのではなく、問題を抱えながらその中で自分たちの心と体のバランスを維持していくにはどうしたらいいか、という問う意図がこめられています。


そしてさらに、その問いに対して著者が提示する…

 必要なのは“今”という瞬間のすべてをすすんで受け入れようとする気持ちだけです(ⅹⅰページ)

…という言葉から、“今”という瞬間の豊かさへの扉が開かれていく一冊です。


【読みかたについての提案】
時間がないときや、長い文章を読むのが苦手なかたは…

以下の箇所から好きな部分を拾い読みして、自分で実践してみることも可能です。
(ひとつの項目は数ページで完結します。)


自分の心の動きを観察してみよう(36ページ)
◇「マインドフルネス瞑想」とはどのようなものか-食べる瞑想(46ページ)

呼吸法のエクササイズ(89ページ)
静座瞑想のエクササイズ(110ページ)
(呼吸と共に座る、呼吸と体の一体感を味わいながら座る、音と共に座る、心の中の思いと共に座る、あるがままの意識と共に座る)
ボディー・スキャンのエクササイズ(139ページ)
ヨーガ瞑想法のエクササイズ(ポーズの図入りです) (156ページ)
歩行瞑想の行い方(171ページ)

◇“時間の束縛”から抜け出すための四つの方法(232ページ)
◇(対人関係における)攻撃的エネルギーを親和に変える-合気道による訓練(243ページ)
仕事ストレスに対処する方法(265ページ)
(番外編)◇「九点パズル」で思考パターンを点検しよう(279ページ)

今後、また機会をあらためて、具体的な内容をご紹介できれば、と考えています。


2016年4月11日月曜日

【マインドフルネス 本の紹介】ティク・ナット・ハン “あなたに幸福が訪れる 禅的生活のこころ”

【本の情報】

題名  : あなたに幸福が訪れる 禅的生活のこころ
著者  : ティク・ナット・ハン
訳者  : 山岡万里子
出版社 : アスペクト
発行年 : 2009年
http://www.aspect.jp/isbn/?k=978-4-7572-1624-2







【どんな本か】
禅僧のティク・ナット・ハン師の著書です。

気づき(マインドフルネス)を、日常のなかに取り入れて生きていくにはどうすればよいか、そのヒントにあふれています。



【読みかたについての提案】
時間がないときや、長い文章を読むのが苦手なかたは…

 “付録A 力を培うための瞑想法”(226ページ~254ページ)

…の章の、好きな項目を拾い読みするだけでも、さまざまなアイデアにふれられます。

(ひとつの項目は数ページで完結するので、ちょっとした時間に読むことが可能です。)




この部分では、呼吸や歩行、電話応対や食事といった、日常にあふれる場面をきっかけに行える実践が紹介されています。

(“瞑想法”といっても堅苦しいものではなく、すぐに生活に取り入れられるものばかりです。

著者はその点について…

  “瞑想というと、僧侶が微動だにせず沈黙のうちに座禅を組んでいる姿を想像するかもしれませんね。

それはあくまで瞑想のひとつで、ほかにもほんの数分のあいだに楽しめて、家庭や職場で実践できる瞑想がたくさんあります。” (226ページ)

…と述べています。)



【印象に残ったことばの引用】

(“はじめに” 9ページより)
気づきとは、今この場に全身全霊で存在し、自分の内側と外側で何が起きているかを把握することです。



今後、機会をあらためて、この本で述べられている実践の具体的な内容をご紹介できれば、と考えています。


2016年4月8日金曜日

【マインドフルネス 実践の紹介】気持ちを込めた呼吸 (ティク・ナット・ハンの著書より)

出典:ティク・ナット・ハン著 山岡万里子訳 “あなたに幸福が訪れる 禅的生活のこころ”(アスペクト) (2009年)

P.227~(以下引用です)


気持ちを込めた呼吸

 気持ちを込めた呼吸を実践する上で参考にしてほしいのが次の短い詩です。

   
   吸って、吐いて
   
   深く、ゆっくり

   静かに、落ち着いて

   笑って、手放して

   今というとき、すばらしいとき

 
 最初のふたつの言葉「吸って、吐いて」とは、「息を吸うとき、私は自分が息を吸っているのを知っている。息を吐くとき、私は息を吐いていることを知っている」という意味です。

 息を吸い込むときには、ただひとつのこと、つまり吸っている息に専念します。すべての雑念を振り払い、ただただその呼吸に専念するのです。
   
 次には同様に、吐く息に専念します。

 これが最初の練習です。

 心の中で「吸って、吐いて」と言葉を繰り返せば、ずっと呼吸と意識を共にしていられます。

(引用ここまで)